オフィスデザインとは、オフィスの移転・リニューアル・レイアウト変更などの際に行われるデザインや設計に関わる活動全般を指し、具体的には内装デザインやレイアウトの計画、デザインコンセプトの立案、什器や家具のデザイン・レイアウト、現状把握のための事前調査などもオフィスデザインに含まれます。
オフィスデザインには、経営者・企業のコンセプトやメッセージを伝えたり、従業員満足度を向上させるといった効果があります。また、近年ではABWを導入するなど、新しい働き方のデザインから行うケースも増加しています。
この記事では、オフィスデザインの意味、メリット、流れ・費用感を紹介するとともに、オフィスのレイアウト・コーナーの事例、実際のオフィス移転におけるデザインの企画・検討事例などを網羅的に紹介しています。
オフィスデザインとは?
オフィスデザインとは、オフィス移転やリニューアル・レイアウト変更などの際に行われる、デザインや設計に関わる活動全般を指します。
内装デザインやレイアウトの計画だけでなく、現状把握のための事前調査やヒアリング、会社の経営・働き方の要望などを踏まえたデザインコンセプトの立案、什器や家具のレイアウトとデザインなどもオフィスデザインに含まれます。
さらに、近年のオフィス移転プロジェクトでは、ABWやテレワークといった新しい働き方を取り入れるなど、働き方からデザインするケースも増加しています。
オフィスデザインに投資することで、従業員満足度や生産性が向上するだけでなく、経営メッセージ・企業コンセプトの表現や、採用活動に対する効果も見込めます。
オフィスデザインの効果・メリット
企業がオフィスデザインに投資することで得られる代表的な効果・メリットを紹介します。
オフィスデザインは執務空間を整えられるというだけでなく、業務効率の向上や採用活動への効果など、さまざまなメリットがあります。オフィスデザインのメリットについてポイントをおさえることで、費用対効果の高いオフィスが実現します。
メリット1:経営者・企業のコンセプトをメッセージとして伝える効果が得られる
企業がオフィスデザインに投資するメリットとして、会社のコンセプトや考え、メッセージなどを広く伝える効果が挙げられます。
コロナ禍によってリモートワークが進んだ結果、働き方や働く場の選択肢が大きく広がりました。自宅やサテライトオフィスなど、働く場の選択肢が多様になったことで、オフィスに出社することや実際に対面して働くことの意義を問われる時代へと変化しつつあります。
また、来訪者にとっても安全なオフィスであることや、協業する際のインフラとして心地よい場所であることも、これからのオフィスデザインで重要なポイントの1つになっています。
企業がオフィスデザインに配慮することで、実際に対面して働くことへの考え方やオフィスの安全性などを表現でき、企業としてのスタンスやメッセージを広く発信する効果が得られます。
メリット2:ABWなどのリモートワークを交えた働き方を実現できる
オフィスデザインとは、内装やレイアウトなど執務空間を計画することだけではなく、ABWやリモートワークの導入といった働き方をデザインすることも含まれます。近年は、オフィスの改装と同時にABWを導入するなど、働き方からデザインする事例も多くなっています。
自由に働く場所を選択するABWやリモートワークなどの導入は、オフィスへの出社が分散することでコロナ対策になるだけでなく、オフィス面積の削減や光熱費などのコストを最適化する効果も見込めます。
また、それぞれが生活や事情にあったワークスタイルが取れることで従業員の負担が軽減する、作業に合わせて集中席やラウンジなど空間を使い分けることで業務効率が向上するといったメリットがあります。
執務空間と働き方のデザインを一体的に検討し、ワークスタイルまで配慮したオフィスを計画することで、オフィスデザインの効果を最大化できます。
メリット3:従業員満足度の向上や採用活動にも効果が見こめる
オフィスデザインによって働きやすい環境が整うことで、従業員満足度やモチベーションの向上、多様な人材の採用、離職率の低下といった効果が見込めます。
コロナ禍によりリモートワークなど新しい働き方が拡大したことで、オフィスワーカーは自分の働く場所や環境の安全性・快適性を重視するようになっています。
オフィスの内外に多様な働く場の選択肢があり、気軽にコミュニケーションが図れ、安全に過ごせる場としてデザインされていることが、多くの働き手にとって魅力的な環境となっています。
働きやすい場や環境があることが業務のモチベーション向上や会社へのロイヤルティにつながり、多様な人材の採用や、離職率の低下といった効果が見込めます。
オフィスデザインの流れ・スケジュール
オフィスデザインやオフィス移転を進める際の流れやスケジュールについて紹介します。一般的なオフィスデザイン・オフィス移転プロジェクトの各段階で実際に行う検討やその効果について具体的に掴んでいただけます。
調査・実測・テストフィット
オフィス改修では、はじめの段階で調査と実測を行い、その結果に基づいてテストフィットを行います。
新たにオフィススペースを賃借する場合などは、不動産会社などから提示される設計図に照らし合わせる形で現地を調査します。部屋の大きさ、天井の高さといった基礎的な要件はもとより、空調・照明・コンセント・給排水といった設備機器類の有無や詳細な場所などを寸法とともに設計図に記載していきます。
その後、現地調査結果で得られた内容を図面化した上で、新オフィスで必要となるデスクやキャビネットなどをレイアウトし、配置や収まりを検証するテストフィットシミュレーションを行います。
デザインコンセプト・レイアウト作成
テストフィットによって大まかなレイアウトが確定した後は、デザインコンセプトと最終レイアウト案を作成します。
デザインコンセプトとは設計、内装工事、完成後の運用までを通してプロジェクト・チームやオフィスで働く人々の間で共有される骨太の方針です。レイアウト案は実際に使用するオフィス什器や植栽などの配置を示した間取り図です。
レイアウト案はカラーで作成されることが一般的です。設計の3D化が進んでいる設計事務所などでは、レイアウト案と同時に立体感が表現された完成予想図(パース)を作成することもできます。
デザインコンセプトを作成する効果・メリット
デザインコンセプトとはプロジェクトの関係者で共有する、デザイン上の重要な指針です。デザインコンセプトを策定することで、オフィス改修でもっとも大事にしたいことを言語化・共有でき、判断に迷うことなくプロジェクトを成功に導くことができます。
また、オフィスが完成した後でのレイアウト変更などにおいても、デザインの意図をコンセプトとして共有することで、一貫性のないオフィス改修を防ぐことができます。
基本・実施設計
設計段階は、一般的には基本設計・実施設計の2つの段階に分かれます。基本設計図で概算工事費を算定し、予定金額とおおきなブレがなければそのまま実施設計を行います。
基本設計は平面図、展開図(部屋の中の立面図)、天井伏図(天井のレイアウト図)、仕上表、設備など内装設計の基礎的要件をまとめた図面を作成し、クライアントと設計者が打ち合わせを通して具体的な内容を決定していきます。
実施設計では基本設計で確定した基礎的要件をベースに、床・壁・天井の仕上げや什器の詳細図を作成します。実施設計確定後に入札や本見積を行い、最終的な工事会社や工事金額を確定します。
工事
内装工事は解体、設計者による現地説明、墨出し、内装下地工事と各種設備工事、仕上げ工事、造作家具設置、什器設置の順番で進みます。
内装工事は、スケルトン(建物の骨組みのみの状態)から行う場合と、床壁天井が仕上がった状態から行う場合では、工事期間や金額に大きな差が現れるため、注意が必要です。
また建物の工事をする際は、A工事(貸主側が行う工事)、B工事(借主負担で貸主側が行う工事)、C工事(借主負担で借主が行う工事)の3種類に分類されることが一般的です。これらの費用と工事の区分について、工事区分表を作成し貸主側と事前に取り決めしておく必要があります。
引越し・原状回復
オフィスの内装工事が終わった後に発生するタスクとして、新オフィスへの引越しと元オフィスの原状回復があります。
まず、引越しに関する段取りについては、内装工事と並行して綿密に決めることが重要です。一口に引越しと言っても、通常の引越し業者に移動を依頼できる書類などのほかに、コピー機など専門業者でないと動かせない特殊な機器類もあります。
コピー機などの特殊な機器は、引越し業者や機器運搬会社の都合によっては、まだ工事している段階であっても新オフィスに移設が必要となる場合もあります。
内装工事と並行して移設する機器などがある場合は、内装工事会社と引越しの段取りを共有しつつ、後戻りの無い移転計画をたてておく必要があります。内装工事会社から提供された工事工程表に、引越しに関わる会社のスケジュールを記載し、内装工事会社と共有しておくのもひとつの手です。
また、引っ越しが終わったら元のオフィスを借りた時の状態に戻す工事である、原状回復工事が発生します。原状回復工事では、内装工事時に抜いた床や、コンクリートの梁や壁に開けた穴を塞ぐといった工事を、借主負担で行います。
原状回復の工事費は場合によっては高額になるため、内装設計の際は原状回復に関する取り決めをよく理解し、貸主側から提供される躯体にどこまで手をかけるか、設計者や内装工事業者とよく打ち合わせをすることで思わぬリスクを避けられます。
オフィスデザインの相談・依頼先とは?
オフィスデザインの主な依頼先には、オフィス家具メーカーのデザイン部門、内装工事会社、オフィスPM会社、内装・インテリア・デザイン事務所などがあります。また、不動産会社などが窓口となるケースもあります。
オフィスデザインの代表的な相談先について、特徴や強みを紹介します。
家具メーカーのデザイン部門
オカムラ、コクヨ、イトーキといったオフィス家具を製作・販売するメーカーは、デザイン部門を持っており、オフィスデザインを依頼できます。
会社としての規模が大きいので、総合的な対応力があり、オフィス家具についてのノウハウもあるので、大がかりな内装工事を伴わないオフィス改修では頼りがいのある存在です。
その一方で、内装工事に対する知識や下請けのネットワークが専業に比べると乏しい傾向があり、規模の大きい内装工事を伴う場合は不向きといえます。また、デザインフィーはかからない反面、そのメーカーの家具しか使えなかったり、中規模の改修だと総合的なサポートが受けられないなど注意点もあります。
主なオフィス家具メーカー
メーカー名 | 概要 |
---|---|
コクヨ(ファーニチャー事業部) | オフィスリニューアルや働き方改革のコンサルティングなどのサービスを紹介している。全国のオフィスの見学申し込みができるほか、オフィスツアー動画の視聴申し込みができる |
コクヨマーケティング | コクヨのファニチャー事業部と比較して中小規模のオフィスについてリニューアルなどのサービスを紹介している。オフィス見学やオフィス診断ツール利用の申し込みができる |
イトーキ | ABWに特化したオフィスの構築や、オフィスリニューアル、働き方改革コンサルティングなどのサービスを紹介している。ABWを導入したオフィス見学の申し込みができる |
オカムラ | オフィス移転・改装、働き方改革コンサルティングや、ICTを活用したオフィス構築などのサービスを紹介している。オフィスに関するお役立ち情報がダウンロードできる |
ウチダ | オフィス移転・リニューアルなどのサービスを紹介している。働き方改革を実践したオフィスの見学申し込みができるほか、VR映像でオフィス内の様子が見られる |
プラス(ファニチャーカンパニー) | オフィスリニューアルや働き方改革などのサービスを紹介している。実際に訪れるオフィス見学の他にオンラインでのオフィス見学の申し込みができる |
内装工事会社
デザイン部門を持っている内装工事会社であれば、オフィスの内装デザインから発注することができます。デザインから工事まで一気通貫で任せられるので、発注者の手間を減らす上では力強い存在です。
その一方で、価格競争の原理が働かない、デザイナーの力量や質が低い場合がある、途中で業者変更ができない、会社の規模で対応に差がでる、といった注意点があります。
内装工事会社に企画から発注すると、デザインや見積内容に不満があっても途中で会社を変更することが難しいので、発注前にその会社の規模感や担当予定のインハウスデザイナーの過去物件を見せてもらうなど入念な調査が必要です。
オフィスPM会社
PM(プロジェクトマネジメント)とは、建築プロジェクトなどでクライアントの業務や手続きを代行するサービスです。オフィスPM会社はプロジェクトの企画から完成までを取り仕切るのが一般的ですが、デザイン業務を請け負うPM会社も存在します。
PM会社にデザインを依頼する場合は、デザイナーがインハウスか外部のデザイナーかをあらかじめ確認し、デザインの方向性や費用間について把握しておく必要があります。
PM会社に依頼するとPM費用がかかりますが、一定以上の規模であったり複雑なプロジェクトの場合、費用対効果が上がる場合もあります。そのため、選択肢の1つになるかどうかはプロジェクトの内容によって決まるといえます。
内装・インテリアデザイン事務所
内装デザイン事務所・インテリアデザイン事務所は内装設計を専門とする会社です。デザイナーが主宰する数人程度の規模の事務所から、大手組織設計事務所系列の内装デザイン会社までさまざまな規模の会社があります。また、職種としては内装デザイナーもしくはインテリアデザイナーと呼ばれます。
デザイナーに依頼するメリットは、デザインに対する専門的な知識があることはもちろん、少数精鋭のメリットを活かして3Dモデリング技術やリモート対応などが可能という点です。
インテリアデザイナーや内装デザイン事務所は、企画からデザイン、詳細な設計までを行うのが一般的で、工事はデザイナーが作成した図面をもとに内装工事会社が行うことになります。
注意が必要な点として、見た目はきれいでも実際は使いにくいデザインを行う内装デザイン事務所もあるため、ヒアリングや事前調査を行う会社かなど業務範囲をあらかじめ確認することが重要です。
オフィスデザインの費用の相場とは?
オフィスデザインにかかる工事費、企画・内装設計の費用、移転の費用について、大まかに把握する上で目安となる坪単価や、全体費用に対するデザイン料などの各種費用の割合を紹介します。
目安となる坪単価
平均的な工事費を1坪(約3.3㎡/2畳分)単位で表したものを坪単価と呼びます。坪単価は建築や内装工事の業界で工事費の相場感を表すコスト指標として汎用的に用いられています。以下は、工事のグレード別に坪単価の相場をまとめた表です。
オフィスグレート別の仕様イメージと坪単価の相場
グレード | 仕様イメージ | 坪単価の相場 |
---|---|---|
Aランク | 内装:躯体からの工事 間仕切り:軽鉄下地から新設 空調:ダクト配管から空調機器吊り込みまで 電気設備:配線から照明機器設置まで 什器:中〜高グレード購入 造作家具:エントランス等に一部設置 | 35〜50万円/坪 |
Bランク | 内装:既存内装の一部を改修(カーペット張替等) 間仕切り:可能間仕切り等の既製品で新設 空調:既存空調設備を利用 電気設備:既存照明設備を利用 什器:中グレード購入 造作家具:エントランス等に一部設置 | 20〜35万円/坪 |
Cランク | 内装:既存内装をそのまま利用 間仕切り:可能間仕切り等の既製品で新設 空調:既存空調設備を利用 電気設備:既存照明設備を利用 什器:低グレード購入 造作家具:なし | 10〜20万円/坪 |
また、工事をスケルトンから行うかや、借主側の負担範囲を決めるABC工事の区分などによって、工事費は大きく異なります。
オフィスの企画・デザインに関する費用の内訳と割合
一般的に、デザイナーに支払うデザイン・設計費もそのフェーズごとに坪単価で表します。また、デザイナーにオフィスデザインを依頼する場合は、工事コストにデザイン費(設計料)を上乗せして予算計上します。一般的に、デザイナーに支払うデザイン・設計費もそのフェーズごとに坪単価で表します。また、デザイナーにオフィスデザインを依頼する場合は、工事コストにデザイン費(設計料)を上乗せして予算計上します。
オフィスデザイン・内装設計にかかる主な費用
項目 | 成果物のイメージ | 費用の相場 |
---|---|---|
調査・企画料 | 現地実測調査、テストフィット、参考イメージの作成 | 1〜1.5万円/坪 |
基本設計料 | 基本設計図書、イメージパース、カラースキム、概算予算書の作成 | 2〜3万円/坪 |
実施設計料 | 実施設計図書の作成 | 2〜3万円/坪 |
監理料 | 工事が設計図通り行われているかデザイナーがチェックする | 1〜1.5万円/坪 |
内装監理室対応 | 内装監理室がある場合に折衝や各種申請に必要な図面を作成する | 1〜1.5万円/坪 |
全体予算に関する費用の内訳と割合
オフィス内装工事にはデザイン、引越し、IT関連インフラ整備など工事以外にもかかる費用が多くあります。オフィス移転にかかる主な費用について、目安となる金額や、全体予算に対する割合を紹介します。
オフィス移転にかかる主な費用と割合
項目 | 概要 | 費用 |
---|---|---|
デザイン料 | 設計図、完成予想図、仕上げボード | 5〜7万円/坪 全体工費の5〜10% |
内装工事費 | 床壁天井の仕上げ及び下地の造作など | 10〜50万円/坪 全体工費の50〜70% |
設備・IT関連工事 | 空調、照明、電気などの設備・LAN配線など | 5〜15万円/坪 全体工費の30〜40% |
家具・什器 | メーカー什器、造作什器など | 5〜30万円/従業員 全体工費の10〜15% |
引越し | 荷物の運搬、荷揚げなど | 2〜5万円/従業員 全体工費の2〜5% |
原状回復費用 | 床、壁、天井の原状回復工事 | 5〜10万円/坪 全体工費の20〜40% |
オフィスデザインのレイアウト・コーナー・空間事例・写真
これまでANALOG(アナログ)が手がけたオフィスの事例について、写真を交えて紹介します。実際のオフィスデザインの空間イメージ、レイアウト、各種コーナーの活用などについて具体的に掴んでいただけます。オフィスの計画を担当されている方はぜひご活用ください。
オフィス移転・デザインを成功させるための4つのポイント
オフィス移転・オフィスデザインプロジェクトを成功させるために重要となる4つのポイントを紹介します。思わぬ失敗などを防ぎ、オフィスデザインの効果を高める方法を掴んでいただけます。
ポイント1:自分の会社規模・予算感にあった相談先を選ぼう
オフィス家具メーカーや内装工事会社は、その対応力から比較的規模が大きな会社のオフィス移転に向いていると言えます。逆に比較的規模の小さな会社がオフィス家具メーカーや内装工事会社に依頼すると、対応が小規模向けでないため費用が高くついたり、要望をうまく汲み取ってもらえなかったりします。
中小規模のオフィス移転や、大きな会社の一部門の改修などといった場合は、デザイナーや内装デザイン事務所に依頼すると、親身に相談に乗ってもらえる場合が多いです。また、社風にあった内装デザインの提案だけでなく、工事業者や什器メーカーの入札も柔軟に対応してくれる会社もあります。
ポイント2:社風や働き方を理解できる、リサーチ力のあるデザイナーを選ぼう
デザイナーを選ぶ際にはデザイン力だけでなく、現状を踏まえて働き方や将来的なオフィスのあり方を判断できるリサーチ力が重要となります。
デザイナーや内装デザイン事務所を選ぶ際にデザインの見た目だけで決めてしまうと、自社の働き方を理解してくれなかったり、自分のやりたいデザインに走ってしまうデザイナーに当たってしまう場合もあります。
しっかりとした対話力や調査力をもち、コンセプト立案から同じ目線で考えてくれるようなデザイナーや内装デザイン事務所を選択するために、依頼前に業務のプロセスを確認したり、ヒアリングや現地調査を踏まえたデザインを行っているかを判断することが重要です。
ポイント3:デザインのテイストやバリエーションを確認しよう
デザイナーや内装デザイン事務所の力量を見極めるためには、ホームページなどで実績を見ながら判断することになりますが、その際の判断基準として欠かしてはいけないのが、デザインに「振り幅」があるかどうかです。
デザインの幅やバリエーションが豊富なデザイナーや内装デザイン事務所に依頼すると、プロジェクトの進行に応じたさまざまなテイストの提案を受けることができます。
一方、デザインのテイストが偏ったデザイナーに依頼すると、提案されたデザインが自社に合っていなかった場合に異なるデザインを提案してもらえないこともあります。デザイナーや内装デザイン事務所に依頼する際には、ホームページに掲載されている実績からデザインやテイストの幅を確認することが重要です。
ポイント4:デザイン力はもちろん、コスト・工程のマネジメント力を確認しよう
オフィス移転において、プランやデザインと同様に費用とスケジュールも重要な要素になります。デザインに特化したデザイナーや内装デザイン事務所に依頼する場合、コストやスケジュールの管理は依頼主側で行うか、PM(プロジェクトマネジメント)をPM会社などに依頼することになります。
一般的に、デザイナーや内装デザイン事務所はコストやスケジュールに弱いイメージがありますが、コストやスケジュールの管理まで行えるデザイン会社もあります。ホームページやヒアリングを通して、プロジェクトに対するマネジメント力を持つデザイナーや内装デザイン事務所かどうかを判断することが重要です。
オフィスデザインの企画・検討事例
ANALOG(アナログ)が手掛けたオフィスデザインの企画・検討事例を紹介します。実際の写真だけでなく、プロジェクトの概要やポイントについて解説しており、具体的なオフィスデザインのイメージを掴んでいただけます。
事例1:ルミネ横浜営業部オフィス|VRを活用し社内の合意形成を支援し、短期間でのリニューアルをサポート
ルミネ横浜店が入居するビルの最上階にある支店営業部オフィスの改修プロジェクトです。230㎡のフロアに40席分のフリーアドレスデスクを配置したオフィスを、入居したまま2ヶ月で改修する短納期のデザイン業務でした。
ANALOGが参画したのが着工1ヶ月前というタイミングでしたが、即座に3Dモデルで空間を立ち上げ、ウsォークスルーモデルやムービーによるプレゼンテーションを行い、デザイン開始から2週間後には大まかなデザインの方向性について、クライアントと合意形成を図ることができました。
ルミネ横浜営業部オフィスにおけるオフィスデザインのポイント・効果
ルミネ横浜営業部オフィスのリニューアルにおけるオフィスデザインのポイント・効果は以下の通りです。
- 女性が8割を超えるオフィスであることから、柔らかさと、自由な感性を融合させたノルディック・モダンのデザインコンセプトを採用
- シンプルで飽きのこない造形としながら、色使いやパターンで北欧のデザインに見られる瑞々しさを表現
- BIMとよばれる3Dによるプレゼンテーションを駆使し短期間での合意形成及び完成を実現
- オフィス什器の選定を一括して行うことで、内装デザインと什器が一体となった空間デザインを実現
事例2:久保田建設|新社屋の建設とオフィスデザインの両面をサポート
横浜市神奈川区にある鉄骨造を得意とする久保田建設社屋の建て替えとして計画されました。もともとは同じ敷地内に木造2階建の社屋があり、それを取り壊して鉄骨4階建ての新社屋に立て替えたプロジェクトです。
ANALOGがもつ建築設計と内装デザイン双方における強みを活かし、建物全体とオフィス内装のデザイン、確認申請、新設什器の選定まで行いました。
久保田建設におけるオフィスデザインのポイント・効果
久保田建設の新社屋建設プロジェクトにおけるオフィスデザインのポイント・効果は以下の通りです。
- 港に積み上がるコンテナをモチーフとして採用し、横浜の企業らしさをアピール
- リブ付きのALCコンクリートスラブで分節し、ローコストでもハイグレードに見えるファサードを構築
- 狭小かつ不整形な敷地を効率よく利用するために、階段やトイレといった共用空間をコンパクトにプランニング
- 低い階高を逆手にとり、デッキスラブの意匠性を生かした天井レスのデザインを採用
- 建築コストのVE/CD提案を行い、クライアントの求める低予算による意匠性の高い本社屋を実現
事例3:サテライトオフィス|ニューノーマル対応の分散型オフィスのプロトタイプを立案
コロナ禍において在宅やシェアオフィスによるリモートワークが広まったことで、ハブ機能を果たす本社機能が縮小する傾向にあります。そのような状況のなかで、ハブオフィスと在宅を結ぶサテライトオフィスの需要が高まってきています。
在宅やシェアオフィスを「集中する場」、ハブオフィス(本社)を「協働の場」とすると、サテライトオフィスはそれらの中間に位置する「つながりの場」といえます。
ANALOGはそうしたサテライトオフィスがポストコロナにおいて重要な役割を占めると予想し、「可変」「安全」「共有」というキーワードのもとにデザイン提案を行っています。
サテライトオフィスにおけるオフィスデザインのポイント・効果
サテライトオフィスプロジェクトにおけるオフィスデザインのポイント・効果は以下の通りです。
- オフィスの利用形態が変化してもその都度工事を伴うことなく、自由にプランニング出来るシステムを提案
- 体温検知器やサニタイザー、サインなどを空間にフィットするよう適正にデザインし、安心で快適なオフィス空間の有り様を提案
- 普段はリモートワークや個別に営業へ出かけている社員が集まり、気軽に議論を重ねられる自由な雰囲気の場を随所に設置
- 職場の仲間や外部の協働者とコミュニケーションを重ねることによって新しいアイディアを生み出す仕掛けを用意
まとめ:オフィスデザインはプロを活用して、投資に対するメリットを最大化しよう
オフィスデザインは適切な依頼先を選定することで劇的に効果が高まるため、オフィスデザイナーなどのプロを上手く活用することが重要です。
オフィスデザインで従業員満足度の向上やリクルーティング効果といったメリットを最大化させるポイントは以下の通りです。
- オフィス移転の会社は、自分の会社の規模や予算感にあった相談先を選ぶことが重要
- 会社の社風や働き方を理解できるリサーチ力のあるデザイナーを選定することで、使いやすいオフィスデザインが実現する
- 幅広いテイストやバリエーションのデザインが可能か実績ページなどで確認することで、変更などに対応可能なデザイナーが選定できる
- デザイン力だけでなくコストや工程のマネジメント力の高い会社を選ぶことで、移転スケジュールやコストの変更が予防できる
- インテリアデザイナーに依頼する場合は、オフィスの実績の有無や、表層的なデザイン以外の部分も担当しているかを確認することが重要
建築・インテリアのプロが在籍するANALOG(アナログ)は、コンセプトに基づいた一体的な空間と柔軟な働き方が両立するオフィスデザインの実現をサポートいたします。移転先の検討にあたってのテストフィットや調査・企画段階からの相談も可能です。オフィスデザインに精通したデザイン事務所をお探しの方も、お気軽にご相談ください。
店舗什器のデザイン・製作に関する事例・リンク
ANALOGについて
この記事を作成したANALOG(アナログ)の強みについて紹介しているページです。事業主の立場から直接発注いただくことや、既にご発注済の大手ゼネコンや設計事務所からインテリアデザインの部分のみ分離発注・協業する形での参画も可能です。
サービスと費用
オフィスの企画・設計・デザインなど、デザイン事務所「ANALOG」のサポート内容や費用をご覧いただけます。デザインコンセプトの立案や3Dモデルによる空間デザインなど、具体的な業務内容や規模に応じた費用の相場などを紹介しています。
導入の流れ
デザイン事務所への相談方法やお問合せから業務メニューの決定までのプロセスを紹介しているページです。デザイン設計のプロに相談する場合に、その方法や費用が発生するタイミングなどを紹介しています。