什器(じゅうき)とは、主に店舗やオフィスで使われる備品、機材、家具などを指す用語で、店舗やオフィスなど使われる場所や業態によって種類や名称が異なります。

店舗で使われる陳列棚やレジ台などを総称して店舗什器と呼びます。オフィスの場合はオフィス什器やオフィス家具と呼び、デスクや椅子、キャビネットなどが該当します。

また、既製品の什器を活用するだけでなく、店舗などでスムーズなオペレーションやフレキシブルなレイアウト変更を可能にするため、可動式のオーダーメイド什器をデザイン・製作する場合もあります。

この記事では、店舗什器の意味、オフィス・飲食店・物販店などの業態別の什器の種類・名称を紹介するとともに、什器の発注・製作方法と費用、オリジナル什器を製作する場合のメリット、活用事例などを網羅的に紹介しています。

店舗什器(じゅうき)とは?

什器(じゅうき)とは、飲食店や物販店、オフィスなどで使われている備品や機材、家具などを指します。什器は使われる場所や業態によって店舗什器やオフィス什器などに分類され、種類も大きく異なります。

店舗什器とは、飲食店や物販店で使われる什器です。例えば飲食店の場合、レジ台、冷蔵機器、食器、椅子、テーブルなどが什器に当ります。アパレルなどの物販店舗であれば、陳列棚、ショーケース、試着室、マネキンなどが什器となります。

什器と家具・備品との違い

什器とは、元々は日常に使われる道具や家具全般を指す言葉です。そのため、備品や家具と意味が重なる部分も多くなっています。

一般的に、家具は家に備え付けるものを指し、家庭で使うものは什器とは呼びません。また、備品は業務で使うために備え付けるものを指し、什器と近い意味で使われています。

しかし、業界によっては什器と家具が同じような意味で扱われている場合もあります。例えばオフィスの椅子やデスクといったオフィス什器はオフィス家具とも呼ばれています。一方、店舗什器は店舗家具とは呼びません。このように、什器という用語は業界によって使われ方が異なる場合があります。

用途別の什器の種類・名称とは?

什器は、業態や業界によってよく使われるものや範囲が異なり、設置する場所や用途ごとに名称が異なります。あらかじめ基本的な用語をおさえておくことで、什器の発注やレンタルをする際にデザイナーや業者とのやり取りがスムーズになります。

什器に関して用いられる基本的な用語や、オフィス、物販店舗、飲食店舗で用いられる代表的な什器を紹介していきます。

什器の基本用語とは?

オフィスや物販店舗など、業態別の具体的な用語解説の前に、各業界や業態で共通する基本的な什器の用語について紹介します。専門的な用語となりますが、おさえておくことで什器の性質や使われ方が掴めるようになります。

什器に関する基本用語と意味

用語意味
壁面什器壁面に固定される陳列什器
島什器フロア内に単独で配置される陳列什器
造作什器特注で製作する什器の総称
メーカー什器オフィス家具製造メーカーが販売する既製品の什器
コントラクト契約によって大量に作成された特別注文家具
棚下照明陳列棚の下に設置される照明
壁面什器の写真・事例
壁面什器
島什器の写真・事例
島什器

棚下照明の写真・事例
棚下照明

オフィス什器の種類・名称とは?

オフィスの計画では、オフィス家具製作メーカーの既製品(メーカー什器)を使用するのが一般的です。メーカーそれぞれに特徴をもった製品を販売していますが、什器の一般的な名称は共通しています。

以下の表ではオフィスの計画において、よく用いられる什器の関連用語とその意味を解説します。

代表的なオフィス什器と概要

オフィスチェアキャスター付きの椅子で座面の高さを調整することが可能
執務用デスクメラミンなどの硬い表面材を用いており、耐久性をもたせている
ミーティングテーブル4〜20人程度までの会議に対応するサイズがある
ミーティングチェアオフィスチェアと機能はさほど変わらないが、デザイン性が高い
キャビネット書類などを収納するスチール製什器の総称
パーティション空間を仕切るための衝立状の移動壁
執務デスクの写真・事例
執務デスク
ミーティングテーブルの写真・事例
ミーティングテーブル

店舗什器(飲食店)の種類・名称とは?

飲食店の什器は大きく接客用什器と厨房設備の2つに分類されます。接客用の什器は、椅子やテーブル、カウンターなどで、契約によって大量注文する什器であるコントラクト什器を扱うメーカーの既製品や特注什器で構成されます。一方、厨房設備の場合、設備メーカーの既製品でラインアップを構成します。

以下の表では飲食店の什器計画において、よく用いられる用語とその意味を解説します。

代表的な店舗什器(飲食店)と概要

カウンターテーブル飲食店舗の雰囲気や個性を作り出す重要な什器
冷蔵ショーケース出来上がった料理や素材などを効果的に陳列し臨場感を演出する
コールドテーブル台下冷蔵庫の天板が作業用のテーブルをかねる什器
2層シンク2層のシンクのうち1つが洗浄用、もう1つが殺菌用となっている
カウンターテーブルの写真・事例
カウンターテーブル
冷蔵ショーケースの写真・事例
冷蔵ショーケース
コールドテーブルの写真・事例
コールドテーブル

店舗什器(小売・物販店)の什器の種類・名称とは?

小売・物販店においては、既製品の什器とオーダーメイドの造作什器を使い分けるのが一般的です。ショッピングセンターや商店街の本屋などでは、コスト的に優位なメーカーの既製品を採用するケースがほとんどとなります。一方、ブランドショップやコンセプトショップなどでは、独自の世界観を演出するために、ほぼ造作什器のみで構成されます。

以下の表ではの小売・物販店の什器計画において、よく用いられる用語とその意味を解説します。

代表的な店舗什器(小売・物販店)と概要

壁面什器壁面に固定される陳列什器
平台上部がテーブル上になった陳列用の島什器
ゴンドラ什器棚の組み換えが可能な島什器(もとはオカムラの商品名)
ショーケース(Gケース)主に高級品などを陳列するガラス製の陳列什器
キャッシャーカウンター会計用のカウンターで問い合わせ窓口を兼ねる場合もある
アクリル什器(ビニング)物品をきれいに陳列するためのアクリル製の仕切り
平台の写真・事例
平台
ゴンドラ什器の写真・事例
ゴンドラ什器
キャッシャーカウンターの写真・事例
キャッシャーカウンター
ショーケース

什器の発注・製作方法と費用

什器の発注先や発注方法は、オフィス、飲食店舗、小売・物販店舗によって異なります。それぞれの違いを踏まえた上で、既製品とオーダーメイドの造作什器について、代表的な什器を元に発注方法やコストを紹介します。

オフィスの場合は、オフィスの内装工事を行う会社がオフィス什器の販売代理店を兼ねているケースや、オフィス.comやアスクルなどのネット通販があります。

内装工事会社に依頼する場合は、プランニングやレイアウトから搬入設置まで任せられる安心感があります。ネット通販は割安ですが、発注から搬入設置の調整を自分で行う必要があるので、オフィス什器の発注経験がある人向きといえます。

飲食店舗では、接客部分のコントラクト什器(大量注文する什器)と厨房設備で発注方法が異なります。接客部分については、内装デザイン会社や内装施工会社にプランニングしてもらい、コントラクト什器会社から見積をとって発注となります。

一方、厨房設備は、設備メーカーと飲食店の調理担当者が打ち合わせをしながらスペックを固め、厨房設備メーカーと内装施工会社で工事区分を調整しながら最終的な仕様を決定していきます。

小売・物販店舗では、内装デザイナーが選定した既製品もしくは造作什器を内装施工工事の一貫として発注するのが一般的です。ただし、一部のブランド店舗や多店舗展開する運営者は、デザイナーのプランに基づいて造作什器メーカーに直接発注したり、デザイナー経由で発注することもあります。

既製品の什器を発注・購入する場合

既製品のメリットは、造作家具に比べて費用を安く抑えられることに加えて、多種類のサイズや部品の構成などがラインナップされているところです。初めて店舗を開くときや、ローコスト型店舗を多数出店する際に採用されることが多いです。

デメリットは、デザインが最初から決まっているので、店舗としての独自性を出せない、棚の枚数や照明の埋め込みなどのカスタマイズができない点があげられます。

代表的な既製品メーカーは以下の通りです。

  • オフィス什器:オカムラ、ウチダ、イトーキなど
  • コントラクト什器:オリバー、相合家具製作所、アダルなど
  • 厨房機器:マルゼン、タニコー、フジマック
  • 店舗什器:オカムラ、イトーキ、ストアエキスプレスなど

代表的な既製品の店舗什器と概要

什器名称仕様・サイズ(mm)費用
ゴンドラ什器オカムラ1500mm×450mm10〜20万円
ショーケースストアエキスプレス1200×450×11007〜15万円
平台ストアエキスプレス1500×750×8002〜5万円

造作什器をデザイン・製作する場合

オーダーメイドの造作什器をデザイン・制作する場合のポイントやコストなどについて紹介します。造作什器が必要になるのはおもに2つのケースが考えられます。

1つめのケースは店舗としてのオリジナリティーを強く打ち出したい場合です。ブランド店舗やチェーン展開する店舗、オリジナルの商材にこだわる店舗などでは、その世界観を演出するために店舗内のほぼすべての什器をオリジナルで製作しています。

2つめのケースは、既製品の什器だと取り扱う製品や空間のサイズにうまくフィットしないケースです。たとえばショーケースと陳列棚を組み合わせて展示したいという場合などは、特注の造作什器でないと対応できません。

オフィス等でオリジナル什器が使われるのは1〜2割程度ですが、ブランドなどの物販店舗では上述の通り店舗内什器のほぼ100%を造作什器で製作しています。

飲食店舗においては、厨房設備などの機能が伴う什器はほぼ既製品ですが、カウンターなどは店舗のプランに左右されるので、造作什器として製作することがほとんどです。

接客用の椅子やテーブルは既製品を使用することが多いのですが、独自の世界観を作り上げたい場合などは、インテリアデザイナーが空間デザインと合わせてデザインし、オリジナル什器として製作することもあります。

また、造作什器の費用は既製品のそれと比べると5〜10倍程度になります。完全にオリジナルな形状や機能とできるかわりに、費用はそれなりにかかります。また照明や可動棚の有無、数量によっても価格は大きく増減します。

そのため、見せ場となるような什器にはコストをかけ、あまり目立たない場所に設置するような什器は、表面の仕上げだけ揃えて機能は簡素にするなどの工夫をすると、費用をおさえつつ、バランスが取れた什器構成となります。

造作機能性やインテリアとの調和が求められます。ご自身で什器メーカーに直接発注したり、内装施工会社に任せてしまうこともできますが、機能性やデザイン性の面で納得の行くものを作るためには、什器の機能やインテリアデザインについて深い専門知識を持ち合わせたデザイナーやデザイン会社に発注することをおすすめします。

代表的な造作什器メーカーは以下の通りです。

  • オカムラ
  • タキザワ
  • 大蔵木材工芸

代表的な造作什器と概要

什器名称仕様・サイズ(mm)費用
島什器雑貨等の陳列什器900×450×90010〜20万円
キャッシャーカウンター会計用カウンター1800×800×80035〜50万円
壁面造作什器カバン等の陳列什器1200×450×270050〜100万円

造作什器をデザイン・製作する3つのメリットとは

造作什器を採用することで、顧客満足度や売上の向上など、さまざまなメリットが生まれます。造作什器の代表的なメリットを紹介します。

メリット1:空間と一体となった効果的な演出が可能

インテリアにあわせて什器のサイズや表面の仕上材を自由に設計できるので、空間との一体感を生み出すことができます。また島什器の高さなどを提供する商品やサービスに併せて設定することができるので、店舗内の視認性や、お客様の体験価値を向上させることができます。

メリット2:特殊な設備を組み込める(棚下照明)

造作什器には売上やセキュリティーを向上させる様々な機能を組み合わせることができます。代表的なものとしては、陳列棚の下に組み込み商品を際立たせる棚下照明や、高級品を陳列することが多いガラスケースの電子錠などです。棚下照明などは空間照明の色温度と合わせることもできるので、店舗内を統一した印象に仕上げることができます。

メリット3:モジュールデザインなど空間や商習慣に合わせたカスタマイズが可能

造作什器はミリ単位でサイズを調整できるので、店舗や業態にあわせて什器サイズを設定できます。他店舗展開するブランドや飲食店舗などにおいて、独自のモジュール(基準寸法)で什器を製作することで、スタッフのみで店舗の模様替えを行ったり、店舗間で什器のやりくりをすることが可能となります。

事例紹介:物販店における造作什器のデザイン・製作事例

ANALOGがオーダーメイドで作成した什器のデザイン事例について紹介します。実際の写真だけでなく、什器構成の特徴、機能性やデザイン性を高めているポイントなどについて解説しており、具体的な造作什器のイメージを掴んでいただけます。

什器デザイン事例1:銀座伊東屋本店|什器のモジュール化で店舗運営の効率化を実現できた事例

銀座で100年以上続く文房具の老舗「伊東屋」の本店です。壁面造作から島什器にいたるまですべてオリジナル什器でデザインされた事例です。

伊東屋が目指すナチュラルな店舗デザインの演出、本店と支店を連動させた店舗デザイン、モジュール化された什器により可能となった売場構成の変更など、機能とデザイン面において造作什器のメリットを最大限に活かした店舗づくりを実現しています。

銀座伊東屋3階
銀座伊東屋
銀座伊東屋

銀座伊東屋本店における什器デザイン・製作のポイント

銀座伊東屋本店における什器のデザイン・製作のポイントは以下の通りです。

  • 全ての什器を統一された寸法に落とし込むことで、完成してからの店舗レイアウトを容易にした
  • 什器の仕上げを店舗内装の仕上げと統一し、旗艦店としての統一したブランドイメージをつくりだした
  • 可動の棚やGケースにも照明を設置することで商品アピール力をアップ
  • 造作什器を全て3Dモデルで作成し、空間内での見え方やお客様動線をシュミレーション
  • 3Dモデル化された什器を後に続く支店のデザイン計画にも流用することで、デザインのスピードアップを図った

什器デザイン事例2:ドンク+RF1 代々木店|で緻密な什器デザインで狭隘な店舗区画にイートインが実現できた事例

大手ベーカリーチェーンの「ドンク」とルーツを同じ神戸にもつ惣菜大手「RF1」が初めてコラボした食物販店舗です。

会計カウンターと一体となった冷蔵ケース、コンセントを組み込んだカウンターテーブル、インテリアと同じ仕上げ材を用いたパン陳列棚など、造作什器によって機能とデザイン両面において空間価値を向上させ、顧客満足度を高めています。

ドンク+RF1 代々木店
ドンク&RF1代々木店の内観、イートイン写真
ドンク&RF1代々木店の内観、内装写真

ドンク+RF1 代々木店における什器デザイン・製作のポイント

ドンク+RF1 代々木店におけるデザイン・製作のポイントは以下の通りです。

  • 冷蔵ケース一体型カウンターなど、コラボ店舗の計画に沿った新たな什器デザインを提案
  • 整然と並んだパンを美しく見せるために、パン陳列什器はトレイの寸法を基準として緻密にデザイン
  • 狭隘な店舗区画に合った造作カウンターをレイアウトし、イートインの席数を最大限確保
  • パン什器の棚にはマグネットを仕込み、プライスタグの設置や取替を容易にした
  • 食品を扱うキャッシャーカウンターには人工大理石やステンレスを多様することで衛生面に配慮

店舗運営や売上に貢献する、オーダーメイドの造作什器を活用しよう

オフィスや店舗で多く用いられる什器は、機能やデザインを正しく理解したうえで、選定もしくは製作する必要があります。また什器は従業員や顧客の満足度を上げ、売上を向上する効果もあるため、什器にかかる費用を投資と捉えることもできます。

什器を上手に活用し、空間や提供するサービスの付加価値を向上させるためのポイントは下記の通りです。

  • 業態や用途によって異なる什器の種類や名称をおさえることで、デザイナーや関連業者とのやり取りがスムーズになる
  • 既製品の什器はコストがおさえられよく用いられる一方、店舗の独自性の表現やカスタマイズができない点に注意が必要
  • 造作什器はコストがかかるが、ポイントをおさえて使うことで費用と見栄えのバランスが取れた空間が実現できる
  • 造作什器は、独自のデザインで世界観を表現でき特殊な機能なども組み込めるため、お客さまの体験価値を向上させられる
  • 造作什器の完成度を高めるためには、什器の機能やデザインについて専門知識を持ったデザイン会社に依頼することが重要

建築・インテリアのプロが在籍するANALOG(アナログ)では、お客さまの事業の成功につながる店舗・施設の実現をサポートいたします。オリジナル什器の導入方法や什器製作会社選定等の相談も可能です。店舗や施設を運営する事業主の方や、内装・什器デザイナーをお探しの大手ゼネコン・設計事務所の方も、お気軽にご相談ください。

店舗什器のデザイン・製作に関する事例・リンク

ANALOGについて
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サービスと費用
店舗設計や内装・什器設計やその前段階で行うデザイン企画の立案や概算算出、あるいは通常の建築設計監理業務など、さまざまなケースでのサポート方法や費用をご覧いただけます。

導入の流れ
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